高齢化社会の医療保険制度を救う予防医学

現代医学の進歩は目を見張るものがあり、さまざまな病気から命を守れるようになった。

しかし、現状では命は守れても、その後の生活が快適ではないことも少なくない。

体の一部が麻痺して動かなかったり、寝たきりになったり、認知機能に異常が残ったりと、生活の質が大きく損なわれるのだ。

このような状態で高齢化することは、本人にとっては非常な苦痛だろう。

そして、肉体的苦痛とともに、生涯医療費がかかり続けるという状態にも追い込まれてしまうのだ。

また、これは社会保険制度にも大きな影響を及ぼす。

日本の医療保険制度や介護保険制度は世界的にも非常に優れているが、それでも高齢者や要介護者にとっては十分とは言いがたい。

保険制度でできない部分を家族が補いながら働くか、時には離職を余儀なくされることもある。

高齢化社会が加速すれば、国民の保険料負担もますます大きくなる。

こうした状況を打破する手立ての一つが、予防医学なのだ。

生活習慣病などを予防することによって、高齢者でも健康的に自立した生活を送れる人を増やせる。

これは高齢者本人にとって幸福なことであり、家族も大いに助かるだろう。

そして、医療保険や介護保険の保険料を負担する国民全体も助かる。

近年、予防医学については良く叫ばれており、医療業界で働いている人であれば、その言葉を耳にする機会は多いだろう。

以上のように高齢化社会による影響を知っておくことは、医療従事者として予防医学に関わるうえで欠かせない知識と言える。